About / Contact

  • 建築家・工務店インタビュー
  • 建築家に聞く:田井勝馬建築設計工房さん対談「情報過多な時代、お客様と建築家とのマッチングを担う存在が必要」

建築家に聞く:田井勝馬建築設計工房さん対談「情報過多な時代、お客様と建築家とのマッチングを担う存在が必要」

「田井勝馬建築設計工房」の田井勝馬さんにお話をうかがいました。

フリーリーデザインボックスが事務局をしている「田園都市建築家の会」。発足当時からのメンバーである田井さんは、当初、事務局の存在に違和感があったとか。今やチームスタッフとして信頼しあう関係性はどのようにして築きあげたのか、お話いただきました。

フリーリーデザインボックス(以下、FDB)
田井勝馬建築設計工房 田井勝馬さん(以下、田井)

建築家とお客様の間に立つ『第三者の役割』とは?

FDB 出会いは9年前に遡ります。知人の建築家が、田園都市建築家の会(以下、田都会)を立ち上げる際に「建築家とは別にお客様をサポートできる役割の人もいたらいいよね」ということで僕(当山)に声がかかりました。ただ、メンバーの中には「建築家の会」という性質上、それ以外の人間がいることに違和感を感じている方もおりまして・・・。田井さんもまさにそのお一人でした(苦笑)。

田井 最初の出会いはそうでしたね。私たち建築家は、建築設計をするのはもちろんですが、営業も大事な仕事の一つになります。お客様の前で、どれだけいいパフォーマンスをできるかが重要になるので、設計も営業もトータルで建築家だという考えです。そういった中で、FDBさんが「お客様との間に立ってプロデュースします」と言うものだから、「君に一体何ができるんだ?」という思いが少なからずありました。

建築家でも、ハウスメーカーでもない立ち位置だからこそできること

FDB 田都会で第一号のお客様となったプロジェクトは、田井さんが担当されました。当時田都会には9名の建築家が在籍していましたが、お客様のN様は建築家を決めきれないとおっしゃったので、「当会では3者によるコンペもできますよ」とご案内してコンペを実施し、最終的に田井さんに決定したという流れでした。

田井 田都会に来るお客様は、『建築家』に家を設計してもらいたいという希望はあっても、一体誰にどう依頼していいのかが分からない、という方が大半ですよね。最初から建築家を指名されるお客様は問題ないのですが、そのような人は1割もいないんじゃないかな。

FDB そうですね。

田井 今の時代は情報量や選択肢が多すぎて、かえって選べないんじゃないかと思います。だから、背中をポンっと押してあげる必要があると感じています。その際、建築家本人ではなく、それぞれの建築家の特徴や人柄などを第3者的な立ち位置で紹介したり、ときには「○○さんに会ってみませんか」というように、接続役が必要だと実感したんです。

FDB
それは非常に大事な作業だと実感しています。

田井 とかく建築家って「敷居が高い」とか「建築家にお願いすると高そう」とか、そういったイメージが払拭できないケースは少なくないのですが、田都会に来ていただいて、その仕組みや建築家との家づくりに共感していただいたお客様はのめり込んでくださるんです。このように、お客様と私たち建築家の間にフィルター役としてお二人が入ってくれるのを見て、私自身の意識も変わっていきましたね。

FDB 嬉しいです。
田都会に来るお客様は、そもそも建築家とハウスメーカーの区別もつかないでいらっしゃる方もいるので、そこから説明をしていくんです。中には『建築家よりも、ハウスメーカーや工務店のほうが合うんじゃないか』と思うお客様もいらっしゃいます。そういったケースでは無理に建築家を勧めることはしないと決めています。
建築家との家づくりは、ご自身がしたい暮らしのビジョンを明確に持っていただくことが重要になります。だから、建築家との家づくりを面倒に感じてしまうお客様には、逆にお断りするつもりでフラットにお話をお聞きするんです。
こうしたスタンスで一次接客に臨むことで、次のステップ以降がスムーズに進められるんです。

田井 FDBさんは、お客様と私たち建築家を上手にマッチングしてくれています。

FDB 建築家の設計する家や、彼らとの家づくりのプロセスは、「とてもすばらしいし、楽しい」ということは 僕ら自身も身をもって体感しているんだけれど、一方でウイークポイントだってあるんです。例えば、時間も手間もかかるとか(苦笑)。そういった部分を僕らが補いながら、彼らと対等な立場で役割をまっとうすることで、すごく安定感のある家づくりが実現するんじゃないかと思っています。それは、建築家住宅をより多くの人に広めるための重要なファクターでもありますね。

横浜開港100周年を記念して昭和34年に建てられたシルクセンター(設計:坂倉準三)
横浜を代表するこの場所に田井勝馬建築設計工房はあります。

・・・後半に続きます。

*Information
田井勝馬建築設計工房(神奈川県横浜市)

=取材後記=FDBさんのサービス内容は、普通の不動産会社がおこなっている業務とはちょっと違っていて、それは魅力ではあるんですが、そのよさを一言で言い表せる言葉がなかなかみつからないんです。こうしたインタビュー記事を通して、ひとつひとつの事例から皆さまには読み取って理解していただく作業が、今のところの手段です。しかし、田井さんもおっしゃるように、情報過多の時代の中でその世界の一歩奥の知識を知っている誰かとなり、迷っている人の背中を押してくれるポジションであるというのは、今後必要不可欠な存在になるのだなと感じました。

取材 江尻・オガワ(編集部)

この記事のタグ

to page top