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建築家に聞く:こぢこぢ一級建築士事務所さん対談(後半)「建築家も助かる心強い不動産会社」

前回に続き、「こぢこぢ一級建築士事務所」の小嶋良一さんにお話をうかがいました。

「家づくり」となると、まずご自身で土地(物件)探しを始める方がほとんどだと思いますが、建築家の小嶋さんは、土地探しの段階から相談に来て欲しいと言います。その意図はどんなところにあるのでしょうか?

フリーリーデザインボックス(以下、FDB)
こぢこぢ一級建築士事務所 小嶋良一さん(以下、小嶋)

本音で相談できる不動産会社

小嶋 僕は、地域に根ざし家づくりやまちづくりに取り組む「田園都市建築家の会(以下、田都会)」に所属しているんですが、その田都会の大きな特徴である「コーディネーター」という役割の人が全工程のコンサルに入る」というサービスが非常に良いと思っているんです。その「コーディネーター」というのがFDBのお二人なんです。FDBさんは数多くの土地や建物を見てきているし、全工程に絡んでお客様の思い描く暮らしを体現してきているので、その土地がいかにお客様が大事にしているポイントを押さえているか、というのを重要視してくれています。

FDB 思い描く家や暮らしとその土地が合致していなければ、そこは勧めちゃいけないんですよね。「庭も大きく取りたいし利便性も欲しい」とした時に、利便性は確かにいいけど窓の外はお隣の壁…みたいな土地にお客様が揺らいでいると「本当にここでいいんですか?庭は諦めるんですか?」って問いかけることもあります。
全体の予算もあるから、トレードオフは必要ですが、暮らしがスタートしてから後悔してもらいたくないですから、優先順位やどうしても譲れない要件といったものはクリアにしたいと思っています。

小嶋 僕としては、それでも利便性を取りたいということであれば、例えば光を落とすだけだったら、トップライトを採用したり、吹き抜けにしたり、設計のテクニックで解決策を提案するんです。FDBさんは、お客様の要望を咀嚼して、時にズバッと背中を押したり、引いたりしてくれるので、お客様にとってみたら、より本音でやりとりできていくのかもしれないですね。

FDB 僕がすっごくいいなと思った土地でも、お客様にはあまり響かなかった時ももちろんありますよ(笑)。そしたら、「ここじゃなかったんだな」と、お客様のニーズがよりクリアになりますからね。心掛けているのは、「判断するのはお客様だけど、その判断ができるために、材料として言ってあげることが大切」ということです。

小嶋 こうした本音での指摘って、できるようでできないものですよね。お客様が「この土地いいね」となれば、そこで契約まで進んでしまうケースが多いですからね。通常、不動産会社は物件探しまでがメインですから、家づくりの最後までサポートするケースはほとんどありません。FDBさんのように家づくりに想いがあって、ワンストップで携わってくれる存在はお客様にとっても、われわれにとっても心強いです。

小嶋「お二人のおかげで、われわれ建築家も設計に専念できるので、より理想の家づくりを探求できています」

マンションリノベから一転。注文建築への方針変更

小嶋 あるお客様から「ぜひ小嶋さんにお願いしたい」とご依頼をいただき、お話を伺ったところ、ご予算も限られていたこともあって「中古マンションを購入し、リノベーションをしましょう」ということで、中古物件探しからFDBさんに入ってもらったんです。

FDB 当初のお客様のプランは、まずは利便性重視で選んだ中古マンションをリノベーションをしたのち、10年後にその物件を売って一戸建てを建てたいというものでした。でも現実、10年後にそのリノベ物件が次の一戸建て建築の資金となるかといったら、さまざまな想定をした上で「なりませんよ」と、正直に申し上げたんです。
「いつかは一戸建て」という希望があるなら、「リノベーション案はやめて土地を買って一戸建てを建てませんか」と提案したところ、マンションリノベから一戸建ての建築へとスイッチが切り替わっていきました。

FDB 当初はマンションリノベの方向だったので、マンションもいくつか見に行ったし、一戸建て切り替え後は土地も半年くらいかけて探していましたね。方向性が変わるごとに資金計画は引き直すので、マンションごと土地ごとに資金計画表は作成していきました。

小嶋 そうですね、当然のことながら、物件によって、面積を大きくとれたりとれなかったりもするので、僕の方でも候補に上がった土地は簡単なボリュームプランを用意してイメージしてもらいました。設計図や資金計画があれば総合的に判断できるので、そういったステップを踏めたからお客様も納得をして着地できたんだと思います。

メリハリを利かせ、自分たちのこだわりを実現してほしい

FDB 建築家と家を建てる時って、お客様はやっぱり設計と建築に重きを置きたい訳じゃないですか。そうなると、僕らがケアすべきは、「設計料と建築費」を確保した上で、土地にかけられる予算を設定しなければならない。例えば利便性や都内でっていう条件となれば、土地に想定以上の予算が回ってしまうことも少なくありません。

小嶋 自分のところに来るお客様は、当然、建築設計に重きをおいて来られます。その中で、後工程である設計料・建築費をしっかり押さえながら土地を探してくれるFDBさんは心強い存在です。
たしかに、経験上、土地探しをされるお客様は、当初の予算よりもどうしても高くなる傾向が見受けられます。一方で、僕たち建築家と一緒に満足度の高い家を建てる場合、建築費に加え設計料もかかりますから、綿密な予算管理が必要になってきます。これをFDBさんは俯瞰しながら、コントロールしてくれるんです。
家づくりには、信頼できるパートナーが必要だと常々思っていて、もちろんお客様にとってもそう。そして、僕ら建築家にとってもこのようなFDBさんというパートナーがそばにいてくれるのは本当に心強いと思っています。

*Information
こぢこぢ一級建築士事務所(神奈川県横浜市)
https://kodikodi.com/

=取材後記=

「建築家と家をつくる」と漠然と理想を描いていても、おそらく多くの方は「自分たちは土地がないから、まずは土地を決めてから建築家にアプローチする」という選択肢しか見当がつかないと思います。しかし、土地探しと建築設計を切り離して考えてしまっては、家づくりの工程の後半に行けば行くほどシワ寄せが大きくなり、尻つぼみな結果となってしまいがちです。建築家の小嶋さんも言うように、全体の工程を見ることによって判断をしていくことが、「家づくり」にとって重要なポイントとなるのでしょう。

取材 江尻・オガワ(編集部)

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